表面改質によるバリア性向上

表面改質により高分子のバリア性を向上させる方法としては、大別して高分子基材表面にバリア性樹脂材料をコーティングする方法と、アルミ、シリカ、アルミナ、非晶性カーボンなどの金属や無機材料をコーティングする方法とがあります。樹脂材料をコーティングする方法には、樹脂を有機溶剤に溶解して塗布する方法と、水性エマルションを塗工する方法とがあります。プラスチック材料へ金属や無機材料をコーティングする方法は、大別して「PVD(物理蒸着)法」と、「CVD(化学蒸着)法」とがあります。PVD法には、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法があり、イオンプレーティング法はコーティング材の基材に対する密着性が良好ですが、成長速度が小さいという短所が存在します。また、スパッタリング法も成長速度が小さいなどの問題を抱えており、現在一般に適用されている方法は真空蒸着法となります。真空蒸着法には、蒸着源の加熱方式の違いにより、抵抗加熱法、電子ビーム加熱法および高周波加熱法があります。CVD法としてはプラズマCVD法が適用されており、コーティングする材料をプラズマ化する手段として高周波やマイクロ波が用いられています。プラスチックフィルム表面への2次加工では、PVD法の真空蒸着が一般的に適用されていますが、真空蒸着法では蒸発粒子に方向性があり、被着体が立体形状の場合、陰の部分は蒸着されないという問題があるため、ボトルなどの立体容器への蒸着にはCVD法が適用されています。