納豆の包装にみる工夫のかずかず

多種多様の食品に合わせ、その包装形態も多種多様にならざるを得ません。例えば、人によって好き嫌いがはっきりしている納豆。昔なら稲わらが定番でしたが、今は発泡スチロール製が当たり前の時代となってきました。その歴史は案外古く1960年頃が始まりと言われています。もともと納豆は納豆菌による発酵状態で流通させるため、一般的な食品は腐らないように無菌状態にして密封し流通過程で大気中の酸素や水蒸気などをできるだけ遮断するガスバリアー性を求められるのとは反対に、空気に適度に触れさせながら流通させるという一面特異な存在と言えるのかもしれません。しかも包装は、そのまま食べられるよう辛子や醤油までついて容器が食器代わりにもなるという消費者にとって有難いものに仕上がっています。もちろん現在の形態に至るまでにはいろいろな工夫がなされています。まず容器は保温性、保湿性、そして通気性が求められます。さらに発酵後は冷蔵され低温流通されるため保冷性も必要となってきます。容器の蓋に小さな穴が開いているのを気が付いた人はかなりの観察眼に長けた人と言っていいかもしれません。この穴で発酵を促す通気性をかなえているのです。さらに通気量を増すことにより発酵を促進させ、それによって二酸化炭素濃度が増し、結果的に好き嫌いの原因ともなる、あの匂いの抑制や苦みを減らすことにも役立っているとのことです。このような納豆包装は少し異色な存在かもしれません。