包む道具風呂敷

最近はレジ袋の変わりの「マイバッグ」として外出時のお供とされている「風呂敷」は、2020年7月1日からスタートした、「レジ袋の有料化」にともなって現代人の注目を集める伝統のアイテムともなっているようです。気軽に持ち歩くことができ、あらゆる形状のものを自由に包装できる風呂敷は、「運ぶ」「保護する」「分類する」「保存する」など、あらゆる使い手側のニーズに対応できる七変化の便利グッズでもあります。「風呂敷」のような布製の道具が人々によって使われるようになった歴史は、奈良時代あたりからではないかと言われているようです。ずい分昔から人々の日用的な道具として身近に存在した「風呂敷」ですが、1200年ほど前の奈良時代頃から人々の間でモノを包むための道具として使われはじめ、平安時代の頃には「ころもつつみ」「ひらづつみ」と人々の間で呼ばれるようになっていたようです。現在のような「風呂敷」という呼び名は、室町時代あたりからはじまったようなのですが、当時、将軍足利義満(あしかがよしみつ)が、大湯殿(おおゆどの)を建設したことから、大名たちの間で風呂が社交の場として利用されはじめ、自分たちの着物を布に包んだり、床に広げた布の上で身を整えたなどと言われています。現代においても尚、モノを包装する道具として伝えられる「風呂敷」は、その名の通り、風呂場で大きな布を便利な道具として活用した人々の習慣から、そう呼ばれるに至ったようです。